プロローグ 〜ケイン博士の日記〜 |
4月8日
まだ何も出ない。先月は中世に植物が生きていたあかしとなる化石を探して荒野をずっと歩いてみた。だが、何も出ない。明日は新しい場所を発掘しよう。何か発見できるかもしれない。 |
4月9日
新しい場所でキャンプを張り、まわりを格子状にふちどりしてから発掘していった。計器がE−46地点で奇妙な反応を示した。金属物質が地表から数メートル下に埋まっているようだ。明日は、そこを発掘しよう。 |
4月10日
信じられない。地表から数メートル下に研究所の跡があったのだ。研究所の大半は損壊していた。これが有名なロボット設計者トーマス・ライト博士の研究所であったことを示す文書をようやく見つけた。残されていたライト博士のノートを読み返した。どうやら博士の研究は大きく前進したらしい。ノートには「カプセル」について書き綴られていた。 |
4月13日
ついにカプセルを見つけた。縦14メートル、横8メートルのカプセルはくずれた天井の下に隠れていた。建物は瓦礫と化していたが、不思議なことに、このカプセルだけは無傷のまま残されていた。発見した時何らかの診断動作をしていた。カプセルには触れるなという警告があったが、すべてのインディケーターは安全を示すグリーンになっていた。開けても大丈夫だろう。明日になればわかる。 |
4月14日
今日、ロックマンXに会った。ロックマンXは単なるロボットではない。人間に近いロボットだ。ライト博士はロックマンXに考える力と意志決定能力を与えていたのだ。ロックマンXは機械よりも人間に近い。 |
4月15日
ライト博士は天才だった。博士の設計ノートをざっと見てみた。そこには想像もできない量子の世界が描かれていた。このノートを手引きにすれば、ライト博士の設計思想を再現できる。新しい世代のロボットを作れるかもしれない。明日、ロックマンXとライト博士のノートを私の研究室に持ち帰ろう。 |
11月22日
ロックマンXを参考にして、最初のロボット「レプリロイド」を完成させた。ライト博士が作ったシステムがどのように動作するのか、完全に理解しているわけではない。そのシステムに小さな修正をいくつか加えてみた。すると、レプリロイドは完全に機能するようになった。レプリロイドは無限の力と知性を持っており、意思決定も十分できるようだ。レプリロイドは議論もできる。実際私は議論をしてみた。なんて素晴らしいロボットだ。 |
5月3日
ここ数週間、新しいレプリロイド達が組立ラインを動かしている。驚くべきことに難しい仕事も簡単にこなせる。人間と並んで働かせてみた。その光景はやや奇妙だが、人間達は喜んでレプリロイド達を受け入れているようだ。 |
7月16日
3台のレプリロイドが「イレギュラー」になり、2人に怪我を負わせたため停止させられた。レプリロイドのこのような悪さは3件目だ。何が原因なのかまったくわからない。レプリロイドの生成は中止した方がいいという意見もある。だが、私はそうは思わない。人間がレプリロイドに頼りすぎていただけなのではないか。 |
11月20日
ついに会議で対応策が決まった。「ハンター」グループを設けて、イレギュラーとなったレプリロイドは、人に危害を加えないうちに破壊することが決まった。ハンターのリーダーとしてシグマというレプリロイドが任命された。シグマは最高の知性を持ったレプリロイドであり、最新の設計回路が埋め込まれている。シグマはどんな問題にも対応できる能力を持っている。 |
12月10日
シグマがイレギュラーハンター達を指揮してから約2年がたった。シグマとその部下のハンター達の活躍でイレギュラーが人間に危害を加えることはなくなった。皆が安心して一息ついた頃......ロックマンXのことが少し心配になった。ロックマンXは自分の生きる道とライト博士が計画してくれた方向に進む自信が持てないようだ。だが、時間がたてば、ロックマンXは自分の道を見つけるにちがいない...... |
7月4日
恐れていた悪夢が現実になってしまった。今日あのシグマがイレギュラーになってしまい、大半のハンター達を連れて出ていってしまった。動機は不明だが、どうやら人間は劣っていると錯覚し、レプリロイドの成長が止まっているのは人間のせいだと「判断」したようだ。このため、シグマは「人間は撲滅しなければならない」と決心したのだ。大半の人々は身を隠し、街から逃げようとしている。人間がどの位の期間、シグマに対抗できるのか私にはわからない。レプリロイドを作り過ぎたのか。ロックマンXはシグマとの戦いのニュースをこまめに伝えてくれる。ロックマンXが勝てるかどうかはわからないが、止めはしまい。何かしなければならないのだ。 |