TK31 |
あの調査から、ネオ・アルカディアに帰還して一週間が過ぎようとしていました。 |
SE かたかたとキーボードを叩く音が響いている。 |
TK31 |
平穏に過ぎ行く日常の中で、私自身、あの出来事が、まるで記憶素子のシグナルノイズが映し出した幻影だったかのような、そんな錯覚さえ感じていました。
そう、たとえ私が見たものが何であろうと、ネオ・アルカディアを思う私の気持ちが失われることなど断じてありえなかったのです。 |
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――ネオ・アルカディア都市管理局 |
SE 近づいてくる足音
SE 椅子に座る音 |
レプリロイド |
なあ。ここんとこ、エネルギー配給制限、きつくなったと思わないか? |
TK31 |
私達管理局のレプリロイドは、これでも優遇されているんです。
不満はありませんね。 |
レプリロイド |
ふっ。それだけじゃない。イレギュラー検挙率は8ポイントも上昇している。
こんな上がり方・・今までなかった。処分された連中の中には、何の異常もないやつもいたって話だ。
知ってるだろ。逃げ出した連中が武装蜂起して、レジスタンス活動・・ |
TK31 |
(話を遮るように)何が言いたいんです!君は一体・・? |
レプリロイド |
オレは、環境省で戦前の遺産管理をしているHE22(エイチイーツーツー)だ。 |
TK31 |
遺産・・?うん・・調査のレポートなら提出しましたが。 |
HE22 |
ああ。見せてもらったよ。その・・例の海洋都市、記録から消されたよ。
爆破されて、施設のほとんどが水没したらしい。
あんたも気づいてるはずだ。何かが進行している・・相当に危険な域までだ。 |
TK31 |
おっと!これ以上その話を続けるようでしたら、ポリスに通報しますよ! |
HE22 |
わかってないなあ!
あの調査に関わったレプリロイドたちが、今どうなっているか・・。 |
SE 扉が開く。
SE 踏み込んでくる足音。 |
TK31 |
はっ・・!? |
ハルピュイア |
全員動くな!八審官による令状だ。
形式番号TK31。国家反逆罪によりイレギュラーと認定!
身柄を拘束する。 |
TK31 |
わ、私が・・? |
周囲、騒然となる。 |
TK31 |
(信じられないように)イレギュラー・・? |
ハルピュイア |
抵抗するものは全員イレギュラーとみなし、この場で処分する! |
SE 何かを撃つ音
SE 爆音 悲鳴が響く。 |
ハルピュイア |
何だ?レジスタンスか!? |
SE 銃撃戦が始まる。
SE サイレンが鳴り響く。 |
HE22 |
TK31!こっちだ! |
TK31 |
私が・・反逆・・? |
M1 IN |
TK31 |
違う・・。ネオ・アルカディアが・・私を・・私を・・! |
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―――水路 |
SE 水が流れる音
SE 水を跳ねながら走る音 |
HE22 |
振り切ったようだな。おい、しっかりしろTK31!
いいか。不当な理由で処分される仲間を解放するために、あんたの知ってる情報が必要なんだ。
ネオ・アルカディアの内情に精通し、例の調査に参加したあんたを連れ出す機会を、我々はうかがっていた。まずは、ここを脱出しよう。活動の拠点を築く。散らばっているレジスタンスを集めて、反抗の準備を整えるんだ。 |
M1 OUT |
TK31 |
その前に・・ |
M2 IN |
TK31 |
まだここでやらなければならないことがあります。
エリア7の研究施設に向かいましょう。 |
HE22 |
エリア7・・?むっ、無茶だ!この厳戒態勢の中で! |
TK31 |
何が起こってるのか見極めたいのだろう!そのために必要なのだ! |
HE22 |
そこに・・何があるっていうんだ?・・おい!聞いているのか!TK31! |
TK31 |
ふふふふふふふ・・。もう私を形式番号で呼ぶな。
私の名はそう・・エルピス!ネオ・アルカディアに虐げられているすべてのレプリロイドの希望となる選ばれた者だ!
そのためにもベビーエルフ、お前の・・お前の力が必要なのだ。
そうだ・・力を・・・・もっと力をおぉーーーーーーっ! |
M2 OUT |